投手の本
野球をしていてこんな本がないかな、とか、
この本はどんな内容なんだろう、と思ったことありませんか?
ここでは私が所有している野球関連の書籍についてその内容を紹介します。
微力ながら、お役に立てれば。
その他野球関連の本
書名 勝つための軟式野球 投手・防御編
著者 佐塚 正巳
出版社 ベースボールマガジン社
価格 ¥2000
おすすめ度 ★★★★★
レビュー 筆者の佐塚氏は国体および天皇賜杯という軟式野球界最高の大会でそれぞれ2度頂点に輝いた時のエースピッチャー兼監督という凄い経歴の持ち主です。それだけにこの本に書かれている内容は、硬式とは違い軟式の視点に立って記載されているので、全てが説得力ある内容になっております。本書の構成は題名通り、投手・野手の防御に関する話しがメインです。キャッチボールの重要性から(これ私も重要視してます)、ピッチングなどいずれも興味深い内容ですが、私がお勧めするのは、ところどころに書かれたコラム。頂点を目指すために、年間の休日は5/5の子供の日だけだったとか、佐塚ボールと名づけたスプリット気味に微妙に落ちるボールの開発秘話など、とてもおもしろかったです。単なる技術論にとどまらず、このような精神論的な内容が織り込まれるのは読者、特にプレイヤーには興味をそそられる部分です。軟式プレイヤー全てにお勧めの本です。
書名 投手のための筋力トレーニング
著者 立花 龍司
出版社 日刊スポーツ出版社
価格 ¥2000
おすすめ度 ★★★★★超おすすめ!!
レビュー 立花氏の最新書です。テーマは”下半身の力をいかに指先に伝えるか”です。強化ポイントとして、股関節、腹筋の一瞬の硬さ、肩甲骨の運動性、肩のインナーマッスル、指力、母し球の6つが挙げられており、その強化のためのトレーニング法が記載されています。トレーニングについては年間計画という形で、休養期からはじまり、シーズン中までを期分けして書かれており、それぞれの期にどのようなトレーニングをどれくらいの回数、どれくらいの負荷で実施すべきかが記載されています。私が立花氏の本を絶賛するのは、この”どれくらいの回数、どれくらいの負荷で実施すべきか”をきちんと書いてくれることです。経験の少ない投手にとってはとてもありがたいことだと思います。本書は書店などで立ち読みがてらパラパラとめくると、トレーニングの写真ばかりで、中には同じ写真がたくさんでてきます。そこで「な〜んや、この本は」と扱ってしまってはダメで、じっくり中身を見ていって下さい。投手のコンディショニングの全てがコンパクトに詰まってます。まさに投手待望の書と言っても過言ではないと思います。今後、私はこのHPの中で幾度となくこの本を引用させてもらおうと思ってます。ほんと超おすすめの本です。
書名 初動負荷理論による野球トレーニング革命
著者 小山 裕
出版社 ベースボールマガジン社
価格 ¥3800
おすすめ度 ★★★☆☆
レビュー 【第2回目読後レビュー】
↓の第1回目では途中で挫折して読むのを放棄してしまいましたが、いろいろな動機付けがあり、頑張って続きを読んで見ました。小山先生が主張したい主な点は、ドッジムーブメント(かわし動作)と言われる投球腕側の動きです。この動作を取り入れることで投球時における筋肉のスムーズな連携が得られ、共縮と言われる好ましくない筋肉の動きを回避することができるというものです。筋肉の細部の動きから考察される部分には歓心させられ、さすがだなと思いました。ただ、やはり残念だったのは前回の感想同様に難解なこと。個々の筋肉の動きを詳細に書いているため、頭の中でその様子を描きながら読み進める必要があります。結果、読むのに非常に時間がかかりました。それと、繰り返し表現が多々見受けられること。結局、行き着くところは”かわし動作”になるので、それに関する表現が多々出てきます。うまく書けば紙面は大幅に簡素化できるだろうにという印象です。ただ、それらを差し引いても良書であることは間違いないです。投手も野手もとても参考になると思います。評価点は前回から星を一つ増やして3つとさせていただきました。


【第1回目読後レビュー】
前から一度読みたいと思っていた本でした。というのも、チューブによるインナーマッスル強化を始め、アイシング、ウェイトトレーニングなど、ことごとく現在常識とされている野球のトレーニング法およびコンディショニング法に異を唱える存在、それがこの小山氏だったからです。そこで勇気を持って手にとってみました。小山氏が提唱しているのは初動負荷理論。これは野球だけに当てはまるものではないようですが、野球動作を解析して応用しています。これまで常識とされてきたチュービングやウェイトトレーニングは主に動作の最後に負荷が多く掛かる終動負荷になっているが、彼はその逆の動作の初期に負荷がかかる動き、すなわち、初動負荷が野球の動きだと言ってます。この初動負荷をトレーニングにも応用することにより、柔軟で血流に富んだ筋肉が作られるそうです。また、筋肉の付け方についても、体の動きを解析した上で、筋肉を付ける部位とそうでない部位を解説しています。と、彼の言いたいことは大体分かったのですが・・・・、失礼ながら、とにかく"
表現が難しく、文章が極めて読みにくい”のです。繰り返し表現も多々見受けられ、日本語としてスラスラ読めず、しかも、専門用語連発で難解極まる文章には、はっきり言って私のような凡人はついていけませんでした。実は挫折して半分ぐらいしか読んでません・・・(この先続きを読むかどうかは分かりません)。以上、最初は興味津々だったのですが、読み進む内に内容の難解さ、文章の読み辛さと共にこの理論に対する興味も薄れていく私でした・・・。この小山先生は、野球界ではイチローが師事していることで有名で、その他にも陸上の伊東選手など、多くの競技で実績を残しているカリスマ指導者です。しかし、もっと分かりやすく表現してもらわないと、せっかくの理論も台無しですよ、先生。ということで、辛い評価にさせていただきました。
書名 ピッチャーズコンディショニング
著者 立花 龍司
出版社 日刊スポーツ出版社
価格 ¥1845
おすすめ度 ★★★★★
レビュー スポーツ医学を背景に、日本野球界のコンディショニングコーチとして新たな分野を確立したと言っても過言ではない立花氏の多数の著書の中から「ピッチャーズコンディショニング」を紹介します。本書は日米の野球界に関わった著者が、正しいコンディショニングを身に付けることにより、太く長い野球人生を目指そうという発想から書かれたものです。全13章からなる構成には、投手のためのコンディショニングがぎっしり詰まっています。どの章も重要なことが書かれているのですが、私のお勧めは第3章の”ホフリングエクササイズ”です。これはフィラデルフィア・フィリーズのトレーナーによって考案された投手のためのエクササイズで、肩甲骨の動きの安定化、柔軟性の向上、ウォーミングアップなどを目的としたものです。詳細は本書に譲りますが、私はキャッチボールであれ、何であれ、ボールを投げる前には必ずこのエクササイズで肩周辺の筋肉のウォーミングアップを行っています。実感としてはチューブトレーニングとこのエクササイズを取り入れたことで、肩の状態が常に良い状態に保たれているように感じています。その他には、ウェイトトレーニングについて書かれた第8章もお勧めです。従来、使用ウェイトや、回数については非常に曖昧な記載のものが多かったのですが、ここではきっちりとそのあたりが記載されています。ウェイトトレーニング経験の少ない人にはうってつけではないでしょうか。ということで、全章に渡り、とても興味深い内容になっているお勧めの一冊です。
書名 投手革命―新世紀の投手を育てるPITCHING METHOD
著者 今任 靖之
出版社 報知新聞社
価格 ¥2500
おすすめ度 ★★★★★
レビュー 今任氏のことは本書で初めて知ったのですが、高校生の指導を中心にその筋ではかなり著名な方のようです。本書は氏の投球理論をまとめたものであります。内容は、1章から8章まであり、主に投球理論のことが中心です。理論の中心は本書中で幾度と無く繰り返し強調される”二つの円と三つの三角形”。私が興味深かったのが後者の方です。いずれも投球動作を自分で確認する際、また客観的に見てもらう際にとても参考になるチェックポイントだと思います。特に第一の三角形のポイントとなる踏み出し足を挙げる高さ、また、第二の三角形でのトップを作るタイミングについてはとても参考になりました。本書を読みながら、手塚氏の理論と比較していたのですが、私は本書の方が直感的に分かりやすい部分が多いと感じました。つまり、手塚氏のダブルスピン理論は、あくまでも手先を加速させるこそれをとに全てが集約されており、そのための体の動きが順序立てて展開されます。が、実際にそれを読んでその通りにするための手順が不足しているような気がするのです。その点、本書では三角形のことや、丹田を踏み出し足の上に乗せるつもりで、などなど実際に動く際に直感的に分かりやすくなっているのです。ただ、いきなり本書を手にとって、読んで、それで投球ができるかというとそれもちょっと疑問に感じます。何故かと言うと、ある程度、投手としての経験があり、自分の投球フォームを把握していないと深く理解できないんじゃないかと思うからです。つまり、素人投手にはちょっとだけ敷居が高いのではと思いました。とは言うものの、本書は私がこれまで読んで投手の技術書の中ではベストだと思いますので、超おすすめです。
書名 スポーツ栄養バイブル
著者 平石貴久
出版社 池田書店
価格 ¥1300
おすすめ度 ★★★☆☆
レビュー だらだらとした栄養書ではなく、図をふんだんに取り入れたコンディショニングのための本としてとても分かりやすく書かれています。内容は各栄養素の必要性、各スポーツ種目毎の特性に応じた栄養摂取の方法などです。前者では一日に摂取すべき量などが例えばタンパク質なら200gの鶏肉何本分などと直感的に分かるように書かれています。また、後者では例えば野球の場合、必要なサプリメントとしてタンパク質、ビタミンB-complex、鉄を○○の食事の後に摂るように、という具合に書かれています。やはり、日ごろの食事だけでは栄養分は偏りが出て不足がちになるので、サプリメントを使うことはそれなりに意義があると思います。本書はそこを、何を、いつ、どれだけ摂取すればよいかを解説しているので、とても実戦的だと思います。ただ、本書の欠点としては、たびたび見受けられる単位の誤記でしょう。タンパク質を20gと記載すべきところを20mgとなっているようなところは、まあ害はないですが、ある栄養素で5mgのはずが5gとなっていたりします。もし、そのまま信じて摂取していたら過剰摂取による副作用が発現する可能性もあるんじゃないかなとも思ったりしますが、まあ、その辺りは栄養学にある程度精通していれば問題ないでしょうか。
書名 野球狂の詩
著者 水島新司
出版社 講談社
価格 ¥350(一冊当たり)
おすすめ度 ★★★☆☆
レビュー 野球に魅せられた男達を描いた水島漫画の秀作です。物語の舞台は東京、国分寺球場を本拠地とする東京メッツ。そのメッツで、よれよれ18番こと”♪ニョホホ〜ン”の岩田鉄五郎(テツ)をはじめ、監督のゴリ、超個性的な選手達が織り成す、かくも楽しい野球応援歌である。選手には、テツの娘婿の清、虎谷、乞食の金太郎、ジンクスに生きる甚久寿などたくさんの海千山千が揃っているが、私が好きなのはなんといっても”スラッガー藤娘”こと国立玉一郎である。国立は歌舞伎の世界での活躍が嘱望されていたが、テツが強引に球界に入れ、1シーズン終了後、再び、歌舞伎の世界に返っていった、と初めて登場した話ではそうなっていたが、その後はメッツの看板打者として出続けている。この藤娘の話に代表されるように、全巻通して読むと、いくつかの矛盾点が浮かび上がってくる。例えば、テツと清の通算成績がそれぞれ多くなったり少なくなったりすること(これは恐らく、全ての話が時系列的に進行していないためと思われる)、全くの素人で入団した甚久寿が後にレギュラーメンバーになっていること(一体どういうこと?)、確か草野球出身の唐部と丘も同じくレギュラーで定着したこと、どうみても新人の帯脇が先輩の投手に向かって馴れ馴れしくあたかも同級生のごとく呼び捨てにすること・・・などなど挙げれば枚挙にいとまが無いが、それはご愛嬌というものである。話は基本的には一話完結スタイルをとっているが(前述の矛盾は恐らくこの一話完結スタイルに由来するものであり、あまり先のことを考えずに書いたためではないかと思われる)、連載されるようになった時から話もそれにあわせ連続形式となる。そこで登場するのが、ご存知、水原勇気である。ドリームボールはまさにドリームであり、最後の最後までその存在に読者も振り回され、もういい加減どうなんだと言いたくなるほどの展開になるのだが、最後は・・・是非ご一読下さい。ちなみに、ファミスタにAチームというアニメスターを集めた、そりゃとてつもなく強いファスミタ史上最強のチームがあったが、そのクローザーはこの勇気ちゃんである。彼女が投げるドリームボールは(あっ、ゆうてもうた!!)原作に忠実に再現されており、ほんとアンタッチャブルであった。さて、長くなって恐縮だが、この漫画で忘れられない話は”北の狼、南の虎”である。最初にこの話を見たのは、テレビアニメとして放送されていた時(当時も今も珍しく1時間番組のアニメであった)であり、北の狼こと火浦健の生き様に人生の厳しさを感じたものである。あの時はほんとに感動したな〜。また、この話のためだけに作られたと思われる歌がよく”♪北の狼〜、南の虎〜♪”という、そのまんまの歌がとても良かった。以上、ほんと長くなったが、恐らく好みの分かれる漫画であることは間違いないと思うので、お勧め度は星3つにしておきます。
書名 野球の最新練習法
筋トレからメントレまで
著者 高畑好秀(監修)
出版社 主婦の友社
価格 ¥1200
おすすめ度 ★★★★☆
レビュー 野球界には昔から根性論的なトレーニング法や精神が根付いており、私が野球をやっていた頃も随所にそのような部分が散見された。例えば、水分補給禁止や、うさぎ跳び練習などである(今この本の冒頭を読み返したら同じことが書いてあった)。現状我々が当たり前と思ってやっているアイシングなども、つい最近までは好奇の目で見られるような扱いを受けていたのである。しかし、時代と共に多少は変化が認められてきたのも事実であり、ヒーローインタビューを受けるプロの投手も肩をこんもりさせインタビューに応じていたりする(でも、投げ終わってから相当時間が経つのにまだ今頃アイシングしてんのかよってつっこみいれたりするが・・・)。ということで、この本の紹介であるが、この本は最新のスポーツ科学を野球に応用した好著である。野球の戦術や技術論は一切掲載されていないが、技術書と分類したのは、野球をやる上での基礎を作るために必要な事柄が多数載っているためである。内容は4つの章から構成されており、体を強化する科学、心を強化する科学、コンディショニングの科学、食事法の科学から成っている。各章はいくつかの項目に分かれており、それぞれに執筆者が分かれている。これら執筆者については巻末に略歴と共に写真が掲載されており、内容等に関する問い合わせもできるようになっている。この本の中身については、私自身大体知ってたことが多かったのだが、特に興味深かったのが、コンディショニングの科学の章の「全身の疲れをとる温冷浴」と、食事法の科学の「これが疲労回復の裏ワザだ」であった。詳細は割愛するが、どちらもとても役に立っており、実践している。
書名 プロ野球
ピッチング解体振書
著者 手塚一志
出版社 カッパブックス
価格 ¥848
おすすめ度 ★★★★☆
レビュー 野球界の異端児?手塚氏のダブルスピン最新作です。以前の”肩バイブル”、”ピッチングの正体”も読んだが、本書はそれらで培った理論をさらに簡単に分かりやすく示した好著である。本書は大きく分けて2章で構成されている。1章が、氏が以前から提唱している”ダブルスピン投法”の理論を6つの必須モーションを用いて説明しているパートと、2章では、その理論を基に、現役プロ野球投手のピッチングモーションに点数を付け、評論している。興味深いのは、その独特のダブルスピン投法理論である。先の”ピッチングの正体”での矛盾点をうまくカバーし、さらに分かりやすく解説しており、投手を目指す人の一助になる内容である。が、しかし、本当にそうか?と疑いたくなる部分も無きにしも有らずである。例えば、変化球を投げる際、ダブルスピンの最中にボールをリリースする位置を微妙に変えることで全ての変化球が投げられる?というのは頭では理解できるがちょっと?である。また、氏の採点基準で最高得点を獲得した松坂投手が何故に故障に苦しんでいるのかなど、単に速球を追求するだけでなく、バイオメカニクスと故障の観点からも考察してほしかった。まあ、その辺りは私のようなちょっとひねくれ者のたわ言だが、中には貴重なアドバイスもたくさん含まれている。私自身も大いに参考になっている。本書は200頁弱の内容だが、理論の部分は100頁強である。前書で随所に見受けられたしょうもない例え話が無くなっているので、とても読みやすくなっている。お勧めである。
書名 鉄腕一代
-超人投手の豪快野球人生
著者 稲尾和久
出版社 ベースボールマガジン社
価格 ¥2200
おすすめ度 ★★★★☆
レビュー 本書は、稲尾氏自らの野球人生を振り返った自伝作品である。この本を読むきっかけとなったのは、下で紹介している「いつもキャッチボールが教えてくれた」で登場する稲尾氏のインタビューを読んだことである。私はとかく自分の意見を押し付けがちな印象がある昔の野球人を相手にしていなかったが、同書での稲尾氏の極めて現代的な野球感覚に触れ、本書を手にとる事にした。さて本書、氏自らの柔らかい語り口、飾らない言葉、単純明快で分かりやすい内容が相俟って、一気に読むことができる。稲尾氏の現役時代は勿論知らないが、史上最強との誉れ高い西鉄ライオンズの中で、もまれながら一気に一時代を築く投手となった氏の人生が痛快に読み取れる内容となっている。すごい臨場感である。さらに驚かされるのは、幼い頃からの氏のプラス思考である。これがあらゆる場面で氏自らを助ける強大な味方となったことが伺える。若い頃の連投がたたり、短命に終わった感がある現役時代であるが、まさに太く短くといった感があり、氏はそのことを全く後悔していない。むしろ、投げる機会があり、楽しかったとも。シーズン42勝の記録は永遠に敗れることはない。絶対に。一方、現役引退直後に監督に就任するが、いわゆる黒い霧事件に見舞われる。黒い霧事件を球界全体のためにという気持ちから氏がフロントに掛け合い公にしたことなどを見ると、いい意味で日本球界の裏表に関係していたんだなと思わせられる。最後に、通算防御率1.98はまさにマーベラスです。
書名 いつもキャッチボールが教えてくれた
-55の言葉で読む
その不思議な力
著者 佐藤倫朗
出版社 東洋経済新報社
価格 ¥1200
おすすめ度 ★★★★☆
レビュー 本書は「キャッチボールのすすめ」である。キャッチボールに対する著者の想いが、MLBや日本プロ野球界の有名選手から、著者の義妹のような身近な無名人まで、彼らのキャッチボールにまつわる”55の言葉”により構成されている。それぞれの言葉に味わいがあり、その言葉には、時には面白く、時には懐かしく、また、時には目頭が熱くなるようなバックグラウンドがある。著者が後書きで書いているように、この本には共感する人と全くそうでない人に分かれると思う。それは一つには、その人の年齢も関係しているものと思われる。本書の中で著者は、自らの幼少時代のキャッチボールを懐かしみ、最近の子供達はキャッチボールをしないと嘆く。私はまだ、30台前半で著者よりも20歳も若いが、やはり幼少時代は外に出てキャッチボールばかりやっていた。つまり、ある年代以上の人には、本書に対して、何かセピア色の夕日を見るような懐かしさを覚えてしまうのだと思う。それにしても、最近は本当にキャッチボールの光景を目にしなくなった。近頃の子供達は満足にキャッチボールもできない。スローイングは8割方できるのに対し、キャッチングは2割しかできない。宇宙飛行士の実験で明らかになったように、人間はボールをキャッチングする際、ボールの軌道から重力の影響を考慮してキャッチングする位置を、無意識のうちに決めている。最近の子供には、キャッチボール経験が少ないこともあるのだろうが、この能力が欠けているのかもしれない。さて、本書は140頁足らずの内容で、ちょうど読みやすい長さとなっている。また、"鉄腕”稲尾和久氏のインタビューがちょうど良いコーヒーブレークとなっている。ただ、本書の惜しむらくは今一歩踏み込んだ記述があってもよかったのではないかということだ。つまり、時に淡白になり過ぎなのである。30台以上の野球好きの人は、購入して損は無し。
書名 野球術(上)、(下)
著者 ジョージ・F・ウィル、芝山幹郎(翻訳)
出版社 文藝春秋
価格 ¥2762(各)
おすすめ度 ★★★★★
レビュー 本書は上巻が監督術、投球術、下巻が打撃術、守備術という構成となっている。
監督術ではトニー・ラ・ルーサ監督(現STLカージナルス監督、当時OAKアスレティックス監督)、投球術ではオーレル・ハーシハイザー(当時LAドジャース)、打撃術ではトニー・グイン(当時SDパドレス)、守備術ではカル・リプケンJr(当時BALオリオールズ)というMLBでのその道の第一人者が取り上げられており、彼らの各分野におけるプロフェッショナルな取り組み方、考え方をアメリカでも著名なコラムニストである著者が緻密なインタビューを通じて綴った知的な本である。単なる技術書では決して見ることができない、まさに野球術と言える術があますところなく綴られている。一方で各選手の野球に対する姿勢や取り組み、彼らを取り巻く周辺の人物の言葉から、大リーガーをより身近な存在として感じることができる。私は投手なので、敬愛する投手の一人であるハーシハイザーの投球術を興味深く読んだ。彼のポジティブでかつ冷静沈着な考え方、配球の妙、攻めのピッチングの真の意味など、大いに参考になった。この本の難点を敢えて挙げれるとすれば、細部に渡る解説が行き過ぎ、逆に難解さを生んでいるところだろうか。しかし、私の最もお勧めの本であることには変わりは無い。

PS:つい最近、この本が文庫本として書店に陳列されているのを見た。こちらの方が値段も大きさも手頃なので、文庫本の方がお勧めである。