願うところの叶うところの
〜第十三話〜
バラ(rose)


 不平不満を言いつつ、彼らは出て行った。私も同じように外へと出て行き、簡単に食事を取って戻り、眠る。そして起きる。
「チェト様、いますでしょうか?」
 チェトの使いのようだ。裏庭でのんびりしていた私の耳に呼ぶ声が聞こえてきた。……来た! 来た! 面白そうなものが、来た。
「バルシュアの使いのものか?」
「はい。言付けを預かっています。城へ行き『追加として呼ばれた魔術士です』と言えば通れる、との事です。後はこれをお渡しするようにと言われております」

 渡されたのは念話の録念機であった。操作し、貝殻に似たデザインのそれを耳に当てる。
『魔王様。チェトでございます。彼らの企みは、どうやら武具のようです。どうも、この世界には何度か魔族が来ていたらしく、恐れ多いことにそいつらは自らを魔王と。武具は前回来た“魔王”を倒した伝説の勇者の装備です。それに魔力を付加させている、とのことですがそれ以上はわかっておりません。多数の魔術師が城にこっそりと集められているそうです。その動きに乗じればなんとでもなると思われます。以上です』

 ……なるほど。確かにここを我が軍が発見したのは偶然だ。偶然なのだから、別に他に個人で発見しているものがいないとも限らない。そうして、それはいたのだろう。
 だが愚かな。所詮、それはそれ。過去ここへ来たものを倒した程度のものにすがって私を殺そうと言うのか。よし、適度な無力さを味わってもらおうか。
 私は上機嫌になり、歌を小さく歌いながら城へと向かった。

「追加として呼ばれた魔術師です」
 そのままに答えると兵士たちも慣れているのか、すんなりと通す。『もっとこっそり来るように』とは言われたがそれだけだ。

「軽い軽い」

 王城内へ私は入る。ほう。なかなかいい城ではないか。
 普通、王族は日常的に一般人の目には入るものではない。城勤めの兵士ですらそうだろう。運の良いことに私はこの国の王女の姿を見ることが出来た。
 ユゼ少年くらいの年若き王女であったが、地位に恥じることない精錬された美しさがあった。しかも、どこかに人の手によって手厚く育てられたバラにはない、野性味があるのだ。
「あの人……?」
 ん? 彼女はこちらを見ている? なにか? と尋ねようと思ったところに案内の兵士が現れた。私は彼の先導の元、地下へと降りる。
 

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罪を犯した魔族を島流しならぬ異世界流し。
または偶然に。そんな感じで今の世界へ。
ラッキー。パラダイスだ! と征服にかかるも勇者に
返り討ち、と言うこと。
ドラ○エで言うのならバラ○スでレビがゾーま。
バラ○ス倒せる程度の勇者と装備じゃ勝てません。

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