願うところの叶うところの
ユゼの日記
その2


風の月の十四日:
 市場へ買い物に行くと、変なものがうってあるのに気づく。カード? 今まであんまりよったことのない場所だから(買い物に必要のないものが売ってる)見たことなかったんだけど、なんだろう? って覗き込むと、そこにはレビさんが描かれてた。
 え? ええ? 話を聞いてみると、どうやら人気の商品で、貴族バルシュアが発行しているものらしい。あ、なるほど。レビさんの知り合いなんだったよね。確か。
 しかし、ポーズがちょっと色っぽいよう。
 ……急いで帰り、魔術書を買うためにためていたお金でそのカードを一枚買ったのは内緒だ。しばらく、ちょっとレビさんの目を見て話しづらくなった。

風の月の十五日:
 いつものようにレビと裏庭で話しているとびっくり発言。彼女、婚約者が出来るかもしれないそうだ。……そんな。僕は、その、彼女が好きだ。と言っても、恋人としてのと言うか、男女的なものより友達としてのが強いけど、うん。仲のいいし。
 ……でも、彼女は王女なんだよね。本来なら宿屋の息子が話すなんて恐れ多いっ! ってレベルの遠い相手だ。「僕に何しろっていうんだよ」なんて言ってしまった。ごめん。ごめんレビ。君が王女として国に尽くしたいと言うことも知ってるし、でも同時にだからと言って見知らぬ誰かに嫁ぐなんてことを嫌っているなんてくらいはわかっていたけど、でもだからって僕には何も出来ないんだよ。だって宿屋の息子だから。無責任な軽い言葉はもっと掛けたくなかった。言葉が続かない。
 そんな時、レビさんに声を掛けられた。レビにごめん、呼ばれてるといって木を降りる。
 レビさんの「信じてる」と言う発言になんか心中複雑で、小さく作り笑いした。

風の月の十六日:
 レビがもう来ないって言って帰っていった。……ごめんね。

風の月の二十八日:
 おろ? もうこないと言ったレビがなんだか嬉しそうにしてやってきた。来ないんじゃないのと言うとげんこつで殴られた。「来て欲しくないのっ!?」「いや、ほしいよ」と言うと赤くなった。顔を見てたら殴られた。照れ隠しかいハニーといったらキャラじゃないってまた殴られた。 どうしたのって聞くと少し嬉しそうに笑った。
「もうすぐわかるよ」……ぜんぜんわかんない。

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