薬剤師の仕事 of SAURY PHARMACY

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薬剤師の仕事

病院薬剤師

00409126.jpg病院薬剤師は医師、看護士、栄養士などと恊働するチーム医療の担い手です。薬に関する専門家ですので、医師と対等に議論できるくらい勉強していないと存在感が無くなります(笑)医薬品に関する情報を薬剤師が収集・整理し、医師や看護士からのあらゆる問い合わせにも対応するDI業務、さらに病棟担当を置く病院では、薬剤師が入院患者を受け持つことがあったりします。身体の不自由な人、重い病気の人の心理をよく理解して接することは、知識だけでは如何ともならず悩むこともあると思います。調剤業務に関しては、医薬分業の進展により外来患者向けの調剤は減り、逆に入院患者向けの注射剤や点滴の調製業務が中心になっています。必然的に院内医師の処方箋だけを扱うことになるので、調剤薬局に比べると、取り扱う医薬品数が少なくて済むようです。また管理職クラスになると院内感染防止委員会、治験審査委員会のメンバーとして知識を活かす場面もあります。


調剤薬局薬剤師

00406755.jpgいわゆるチェーン薬局や大手スーパーのドラッグ部門、個人経営の薬局などに勤務する薬剤師です。社員として管理者をしている場合と、パート勤務している場合があります。医師・歯科医師から発行された処方箋に間違いがないか確認(処方監査)し、それに従って医薬品を調合します。患者さんに服用上の説明・注意(服薬指導)を行い、薬歴簿を記入・保管(薬歴管理)します。薬局では市販薬の購入相談業務があり、患者さんからの健康相談に応えるという内科医的な側面も持っていて、案外責任が重大です。
また、薬局開設者として薬局経営する方もいて、薬学の知識や技能だけでなく、経営者としての手腕を振るっている薬剤師もいます。


医薬品製造販売業(製薬会社)

00407120.jpg製薬会社での業務には研究、臨床開発、市販後調査、営業などがあります。研究では薬になりそうな化合物を見つけ出したり、ある化合物をどのように合成すれば良いかを研究したり、どんな性質を持っているか、毒性がないかなどを実験で確かめます。臨床開発では、医薬品としての有効性や安全性を確かめます。治験に協力いただいている医療機関を定期的に訪問して、患者さんに適切に投与されているか確認をしたり、データをチェックしたりしています。そして患者さんに投与した結果の膨大なデータを解析して、申請資料を作成します。市販後調査では、承認された医薬品の安全性情報を収集するための調査方法を計画し、収集した安全性情報を分析して、適宜安全対策を実施します。営業(MR)は医療機関に医薬品の説明をして売り込みをしたり、患者さんに副作用などが起きていないかを医師や薬剤師に確認します。主観的ではありますが、研究と営業は薬剤師が案外少ない傾向かと思います。


行政職(公務員)

j0316739.jpg行政職としては厚生労働省の職員、都道府県庁の職員があります。医薬品に関する法律や条例を作ったり、その法律や条例を守れているか、製薬会社や病院/薬局の業務状況をチェックします。身分は公務員ではありませんが、医薬品医療機器総合機構という機関でも薬事行政関連業務を行っており、薬剤師が活躍しています。また保健所では、河川や井戸、プール等の水質検査や食中毒発生時の調査や検査など、食品衛生、公衆衛生に携わります。科学捜査研究所で法医学などを担当する研究者となる薬剤師もいますし、警察官として採用され、分析化学などの知識や手技を活かして鑑識課などで活躍することもあります。


薬剤師になるには

進学する大学を選ぶ。

薬剤師になるには、高校卒業後、6年間の大学の薬剤師養成課程を卒業し、薬剤師国家試験に合格すること、また厚生労働大臣から免許を交付してもらうための申請が必要です。

大学には総合大学(○○大学薬学部)と単科大学(○○薬科大学など)があります。個人的には学生時代にいろいろな価値観を持つ他学部の友人と接する機会のある総合大学をお勧めします。
また、国公立大学と私立大学があります。私立大学の年間授業料は200〜300万円、実習が忙しくてアルバイトに精を出すことも難しいですから、地方から都内私立大学に通うために一人暮らししようとすると、生活費と家賃と授業料で年間500万円以上は想定していなくてはならないでしょう。

大学生活を過ごす。

大学では、薬学科や漢方薬学科、医療薬学科、健康薬学科などの学科に入学し、所定の単位を修得します。大学によって科目名が異なるものはありますが、概ね以下の通りです。

1、2年次で、薬化学、生化学、分析化学、物理化学、薬用植物学、微生物学など基礎となる科目を学びます。この他にも医学概論とか臨床心理学など医療に携わる者として必要な知識やコミュニケーション能力を向上させるための科目があり、薬学教育を受けるにあたっての素養みたいなものを身につけていきます。

3、4年次では、かなり専門的な科目が増えてきますし、座学と平行して実習(実験)も増えてきます。「薬学部に居るんだな」と実感するのはこの頃です。薬理学や製剤学、薬物動態学、生薬学などの薬学教育ならではの科目、病理学や解剖学などの医学的な科目などを学びます。医薬品と疾病の関係性、薬物治療についての理解を深め、病院実務実習・薬局実務実習に備えます。
4年次の終わり頃に、知識を評価するComputer Based Testing(CBT)と、技能・態度を評価する客観的臨床能力試験Objective Structured Clinical Examination(OSCE)に合格した学生が病院実務実習・薬局実務実習に進むことができます。

5、6年次では病院実務実習・薬局実務実習が行われます。
事前実習が行われた後に、学外の病院や薬局で5か月間にわたる薬学実務実習に臨みます。また研究室に所属してさまざまな卒業研究に取り組み,薬学者としての専門性を養います。
教育機関によっては患者役をする教員との面談であったり、医師を含む医療専門家との治療カンファレンスのロールプレイングを行って実践力を養います。また臨床実習がない時期に、各研究室で研究(卒業論文実習)を行います。

サークル活動/アルバイト

自大学の体育会/文化会のサークル活動であれば、試験期間や実習期間などに合わせて活動することができるので両立可能かと思います。他大学のサークル活動に所属する人もいましたが、夏休みとか冬休みの活動くらいしか参加できない人も多かったと思います。私は自大学のオーケストラに所属していましたが、土日のスケジュールはオーケストラの練習で埋まっていました(まあ適当にサボったりしていましたけど(笑)

平日は朝9:00から18:00くらいまで座学と実習で忙しい日々を送ることになります。特に実習は結果が出るまで帰れませんし、レポート提出締切が翌朝なんてこともありますから、シフトがしっかりと組まれているようなアルバイトは不可能です。
夏休みや春休みを利用して短期アルバイトをしていた人はいましたが、旅行資金だったりすることが多く、日々の生活はご両親に支えてもらえている裕福な家庭の子女が多かった気がします。

薬剤師国家試験

薬剤師国家試験は年1回実施されます。
かつては3月末に実施され、4月末に合否発表でしたが、最近は4月に就職することを考慮して3月初旬に実施、3月末に合否発表になっています。
試験科目は下記4科目。必ずしも各分野の範囲が出題される訳ではありません。複合的な知識が試される問題も相当数出題されます。

 (1)基礎薬学
 (2)医療薬学
 (3)衛生薬学
 (4)薬事関係法規及び薬事関係制度

平均合格率は70%くらいですが、私立大学は国家試験対策がしっかり行われているので、新卒者であれば85%くらいの合格率になっています。
問題数は240問(私が受験した頃は200問でした)です。大学で学んだことの集大成がたったの240問と考えると切なくなりますが、ここでつまずいたら「薬剤師」ではなく「薬に詳しいオッサン」になってしまいますから、頑張りましょう。

大学で行われる試験(いわゆる期末試験)の勉強とは別に「国家試験対策」として勉強が必要だと思います。さらに大学院進学のための入試対策が加わると、本当に時間がありません。正直言うと私は最後の2ヶ月くらいで猛勉強せざるを得ない状況でした。定番の参考書/問題集は1年くらいかけてコツコツやっておく姿勢が大事かと思います。


薬剤師の心得

薬剤師への信頼とは

アメリカのある職業調査では生活者から最も信頼される職業に「薬剤師」が1位を占めています。
日本ではさしずめ「医師」「弁護士」「大学教授」の方がずっと信頼されていそうな気がしますが、アメリカで「薬剤師」が1位とされる理由には、患者第一の姿勢と使命感が挙っているそうです。

私が小児科で薬剤師をしていた頃、当時23歳でしたから頼りない薬剤師だったはずですが、私を指名してくれる患者さん(正確には患者のお母さん)がいました。

ある雪の降る夜

東京では珍しく雪の降った夜、アルバイトの薬剤師2名で夜勤をしていました。
私は大学院生のアルバイト、もう一人は昼間別の病院に勤務する30歳後半の中堅薬剤師でした。
その小児科では私の方が若干先輩でしたので、調剤監査や服薬説明は私が担当していました。

処方箋が出た際にベテラン薬剤師は「簡単な処方だから私が調剤も服薬説明もしますね。」と言って私に処方箋を見せました。「○○○○座薬10mg 4本」確かに簡単です。座薬を箱から出して薬袋につめるだけ。「わかりました。よろしくお願いします。」と私は彼に任せることにしました。
しばらくして、会計事務担当が私のところに飛んできて、「自分は座薬をコンピュータに打ち込んだのに、薬剤師と患者の会話では錠剤と話していた。」と報告を受けました。
その薬剤師「○○○○錠剤10mg 4錠」を調剤して患者さんに出してしまったんです。

私は慌てて患者カウンターに向かい、薬剤師に確認すると、「まあ同じ10mgだから大丈夫でしょう」って返答がありました。処方箋を確認すると患者さんの年齢は生後7ヶ月でした。まず錠剤は飲める年齢ではないですね。おそらく医師から座薬を半分にして使うように指示されているはずです。

私は駐車場へ急ぎました。ちょうど発進する車を見て、不自由な足を引きづりながら走りました。間に合わなかったら電話をしなくては、住所を調べて届けなくては・・・など万一のことを考えなら、雪の降る中を80mくらい走った時、患者さんの車が止まりました。

「薬袋の中を確認させてもらって良いですか?」

患者さんは怪訝そうな顔をして薬袋を差し出しました。薬袋には「○○○○錠剤10mg 4錠」が入っていました。事情を説明して患者カウンターまで戻ってもらい、症状と患者さんの体重を確認して、座薬を半分にする方法と保管方法の説明をした上、医薬品を交換して、深々と頭を下げて謝りました。会計事務の担当者も立ち上がって頭を下げました。

患者さんは、「ありがとうございました。お医者さんから座薬と聞いていたのに、錠剤が出てきたのでおかしいとは思ったんで、ちゃんと聞き直せば良かったんです。」と言ってくれました。

正しい医薬品を渡せたこと。患者さんも理解してくれたこと。「ほっと」したのが本音でした。。。

薬剤師の医療人としての心得

さて、あの薬剤師の姿が見えなくなっています。
なんと奥の休憩室でおせんべいを口にしながらスポーツ新聞読んでました。
「バイオアベイラビリティと言って同じ容量の薬でも投与方法によって、身体に吸収されて利用される量が変わるんですよ。大学で習わなかったんですか?」と言ったのですが、彼の放った返事は「言わなければ分からなかったと思うよ。」でした。

知識や技能があるのは当たり前のこと。なぜなら学問を修めたのですから。
でも、薬学の心があるかは、その人の良心の問題です。(薬剤師の立場は知識的にも、精神状態的にも、病気で苦しんでいる患者より優位な場面が多い訳です。患者さんの気持ちで考え、行動することができなければ、医療人として失格な気がします。)

私を指名してくれるのは、その患者さんです。

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職業と経歴

名前

さうり〜(本名は秘密です。)

年齢

秘密

職業

製薬会社勤務(安全管理業務)
安全管理業務とは、副作用情報を収集・分析し、医薬品に未知で予測困難な有害事象が発生もしくは発生の恐れが生じた場合、その被害を防止ないしは最小限に食い止めるための安全対策を検討する業務です。

学歴

大学院薬学研究科
博士前期課程修了(薬学修士)

専攻(研究テーマ)

薬物動態学
(立体異性体の体内動態の研究)

趣味

ドライブ

最近見かけなくなってきた旧型メルセデス(W124)でハイウェイを突っ走る!古い型式のため、あちこち修理しているのですが、その手間が結構楽しかったりして(笑)年老いたドーベルマンを大事にしているような気分です。

お  酒

日本酒は「浦霞」、特に美味しい海の幸との相性は抜群です。ウィスキーなら「LAGABURIN16年」、口に広がるスモーキーな香りがタマリマセン。そしてカクテルなら「フレンチ125」、適度な甘さとすっきりした後味が楽しめます。

音  楽

クラシック音楽、特にブラームスの交響曲は、名演を聴いて涙が出てくる程に大好きです。最近はバッハなんかも楽しめるようになりました。
学生時代はトロンボーンやトランペットをやっていましたが、現在はチェロを演奏します。弦楽器の音色にちょっと浮気のつもりでしたが、いつの間にか本気になってしまいました。。。