薬物治療とは
くすりがもたらすもの
くるりは両刃の剣
「くすり」の紀元については、さまざまな説がありますが、(私が中学生の頃、某大学の中高生向け講座で聴いた話では)ペルー民族がマラリア治療に何かの木を利用したのが最も古い薬物治療だそうです。
人類にとって「くすり」の発見は大きな事件だったと言えないでしょうか。
かつては結核などの感染症で多くの人が亡くなった時代がありましたが、今では抗生物質が発見され、多くの人が結核で亡くなるというようなことはなくなりました。また、胃潰瘍の治療は手術が中心でしたが、H2ブロッカーの誕生で「くすり」により、入院・手術等の必要とされる患者さんは減り,患者さんの精神的・経済的負担が減りました。現在では多くの病気や症状を「くすり」で治療することが可能になっています。このように「くすり」によって施される治療を「薬物治療」と言います。
「くすり」は、体の中に入ると様々な作用(薬理作用)を引き起こします。 その様々な作用(薬理作用)のうち、症状・病気を治す作用を「効果」といい、その他の好ましくない作用を「副作用 」といいます。
つまり「くすり」には、利益(ベネフィット)と損害(リスク)が必ずあります。「くすりは両刃の剣」と言われるのはそのためです。
医師はあなたにとって「利益(ベネフィット)と損害(リスク)のいずれが大きいか?」を考えてながら、どの「くすり」を、どれだけの量と期間使うのかを決めています。
この「薬をどれだけ使うか」という医師の決定を「処方」と言います。薬物治療では、医師の処方した「くすり」を正しく服用することが重要です。
賢い患者になりましょう。
副作用に関する話題をマスコミがセンセーショナルに取り扱っていることがあります。でも、もし患者さんが薬を飲まなかったらどんな不利益があるかは一切説明が無いですね。もし、薬を飲まないことで患者さんに不利益があったらマスコミが責任を取るのだろうか?(取る訳ないですね。)
もし副作用があることが事実であっても、マスコミに踊らされないように注意してください。治療による利益(ベネフィット)と副作用による損害(リスク)を勘案して治療が必要と判断された結果、あなたにその薬が処方されているのです。そのためにも賢い患者さんであって欲しいと思います。