骨粗鬆症とくすり of SAURY PHARMACY

骨粗鬆症とくすり

骨の構造骨

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骨はハイドロキシアパタイトなどの無機骨基質とコラーゲンなどの有機骨基質で構成される。ハイドロキシアパタイトとはカルシウムとリン酸を含む結晶成分で骨の強度を保つ物質となります。

骨は生きている

骨折しても1ヶ月もすると治癒しますよね。でも骨折しなくても骨は絶えず造りかえられているのは意外に知られていません。
骨には、破骨細胞という骨を融かして吸収してしまう細胞、骨芽細胞という骨の融けた部分にあらたな骨を形成する細胞があります。
この2種類の細胞によって骨吸収と骨形成を繰り返して、骨は常に造りかえられています。

骨粗鬆症

骨粗鬆症とは、骨吸収が骨形成を上回るというアンバランスによって骨の強度が低下して、骨折などのリスクが増加する病態をいいます。
骨吸収が骨形成を上回る原因として、エストロゲン(女性ホルモン)の低下や、ビタミンDの不足、加齢などが考えられます。
高齢者の場合、骨粗鬆症による骨折、例えば脊椎骨折などでは様々な臓器にも影響したり、大腿骨頸部骨折では寝たきりになるなど「生活の質」が著しく低下します。

骨粗鬆症の治療

骨粗鬆症の治療に用いられる薬は、その作用メカニズムから、骨吸収抑制薬(骨が融けるのを抑える作用)と骨形成促進薬(骨が形成されるのを促がす作用)、その他に分類されます。

女性ホルモン製剤

主な薬剤名:エストラジオール、エストリオール
エストロゲンは骨組織に直接的に作用して骨吸収を抑制します。
子宮出血や乳房痛などの副作用があるので、自覚症状があれば直ぐに医師に相談が必要です。また長期投与による子宮体癌や乳癌のリスクがあることが知られています。

活性化ビタミンD製剤

主な薬剤名:アルファカルシドールカルシトリオール
活性化ビタミンDは腸管からのカルシウムやリンの吸収促進と副甲状腺ホルモンの分泌を抑制により骨密度を増加させます。
高カルシウム血症による悪心、嘔吐、脱力感などの副作用があります。またジギタリス製剤との併用に注意が必要です。

ビタミンK製剤

主な薬剤名:メナテトレノン
骨コラーゲンの形成や骨芽細胞の産生するオステオカルシンを介して骨形成を促進すると考えられています。

ビスホスホネート製剤

主な薬剤名:アレンドロネート、リセドロネート
骨の石灰化抑制と骨吸収抑制を併せもっています。
粘膜上皮における刺激作用があると考えられ、胸焼けや胃部不快感が現れることがあります。服用後30分程度は横にならないことや十分な量の水(ミネラルウォーター以外)で服用するなど注意が必要です。

SERM

主な薬剤名:ラロキシフェン
エストロゲン作用のうち、骨細胞に選択的に作用するよう開発された薬剤です。
ほてりや多汗、痙攣などが現れることがありますので、これらが現れる場合は医師または薬剤師に相談しましょう。

カルシトニン製剤

主な薬剤名:エルカトニン、サケカルシトニン
カルシトニンは直接的に破骨細胞に作用して骨吸収を抑制します。
ショック、アナフィラキシー症状、また顔面紅潮や熱感が現れることがありますので過敏症を起こし易いかたは注意が必要です。

ホルモン補充療法

女性ホルモンであるエストロゲンは骨吸収(骨が融ける)を抑制する作用があります。つまり閉経後にエストロゲンが低下すると、骨吸収が進むことになります。これを閉経後骨粗鬆症と言います。
更年期障害などの治療と共に骨粗鬆症でもエストロゲン補充療法が行われますが、アメリカで実施された臨床試験の結果からはエストロゲン補充療法により乳癌や子宮体癌などのリスクが高まる結果になっています。

SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレータ)の開発

エストロゲンの作用は骨だけでなく全身におよびます。乳癌や子宮体癌などのリスクが高まるのはエストロゲンが生殖器などに影響をおよぼしているからです。そこで生殖器等に作用することなく、骨組織などへ選択的に作用することができるSERMが開発されました。ホルモン補充療法の副作用を軽減し、代替療法として期待できます。

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