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妊娠時期と胎児への影響

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胎盤を通過した薬物の胎児への影響は、胎児の成長時期と大きく関わり合いがあります。妊娠時期は、超初期(1ヶ月)、初期(2〜4ヶ月)、中期(5〜7ヶ月)、後期(8〜10ヶ月)に分けられます。各々の時期の胎児への影響について説明します。

妊娠時期と胎児への影響

妊娠初期(2〜4ヶ月)

この時期は胎児の形態が完成し、器官が形成される器官発生期と器官形成期にあたります。奇形という意味では最も薬の影響を受ける時期です。つまり、この時期に胎児に影響した場合、奇形が発生する可能性があります。もちろん薬を絶対に服用してはいけないというものではありません。この時期に奇形を発生させる可能性の高い薬としては、ビタミンA誘導体(レチノイド)、抗がん剤、一部のホルモン系の薬などです。
このような危険度の高い薬は、事前に医師から妊娠しないように注意されるものです。妊娠中の薬の服用は、市販薬もふくめ医師・薬剤師に相談しましょう。

妊娠中期(5〜7ヶ月)

この妊娠中期は、初期に比べると安全な時期と言えるでしょう。胎児の身体や臓器の基本的な形はできあがっているので、いわゆる奇形等の心配はありません。しかし薬によっては身体や臓器の機能面に悪い影響をおよぼすことがあります。たとえば、高血圧の薬(ACE阻害薬)などでは胎児の腎臓の働きを悪くし尿量を減らす為、羊水が減少し、重大な障害を残すおそれがあります。またテトラサイクリン系抗生物質を長期服用すると、胎児の歯が黄色くなってしまうことがあります。


妊娠後期(8〜10ヶ月)

胎児が直接的な作用を受けやすくなります。このとき、薬がもたらす悪い作用のことを「胎児毒性」といいます。その代表例は鎮痛薬です。鎮痛薬には血管を収縮させる作用があり、新生児肺高血圧症の要因となるおそれがあります。胎児の腎臓にも悪影響があると言われ、出産遅延をまねくこともあるようです。頓服で使用する程度は心配いりませんが、鎮痛薬の長期連用は避けなければなりません。そのほか、妊娠後期の安定剤や睡眠薬の連用は、胎児の筋力や呼吸を弱らせてしまうこともありますので、注意が必要です。

授乳と薬物治療

一般的に分子量が小さく、脂溶性の高い薬物が母乳に移行すると言われていますが、ほとんどの薬が母乳へ移行します。しかしながら、栄養面はもちろん、母子の精神的な関係という面からも、母乳が望ましいことは言うまでもありませんので、お母さんが薬を服用しなくてはならない場合、単に授乳を中止すれば良いと言うのではなく、副作用が少なく、即効性で排泄の速い薬を医師に選んでもらうことで、乳児のリスクを少しでも回避することが可能です。

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