小児とくすり of SAURY PHARMACY

小児とくすり

子供の治療はご両親がカギ

j0406582.jpg子供は自分の症状を上手く表現することができません。小児科の薬剤師をしている頃、患者さんの状況を確認するには、母親の観察力が頼りになりました。子供は「痛い」としか表現できなくても、どうして痛いのか、どのように痛いのかをお母さんが説明してくれることによって、医師の診断や薬の処方意図を誤ることなく、服薬指導ができました。ご両親は子供の様子をしっかり観察する必要があると思います。
また、小児の病気では、ご両親の日常生活の乱れ(栄養バランスの悪い食事、夜更かし、不衛生など)に問題があることも少なくありません。この点にもご両親の留意が必要です。

子供は身体の小さな大人ではない・・・

小児と言っても、新生児期(生後1ヶ月以内)、乳児期(1ヶ月〜1歳)、幼児期(1歳〜5歳)、学童期(6〜12歳)と年齢幅がとても大きいことが分かると思います。
学童期も後半(10〜12歳)くらいになると、大人と同じくらいの服用量が処方されるケースも稀にありますが、成長に伴って吸収、代謝、排泄などのお薬の効果に影響する生体機能も発達中であることから、薬用量には細心の注意がなされています。
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例えば、新生児、乳児では、薬の吸収率が低いため、効き始めが遅い反面、吸収された後は、腎臓・肝臓の機能が未発達なため、薬が身体に蓄積され易いという特徴があります。
つまり、小児の薬用量は、体重が5分の1だから薬用量も5分の1で良いなどという単純なものではありません。
一般に医薬品の有効性/安全性は成人のデータで評価されています(新薬開発の為に行われる臨床試験は成人で実施されています)から、小児でのデータはほとんど皆無と言ってよいでしょう。そのため小児(幼児期以降)の投与量は成人の投与量から換算する方法(Harnack表:体表面積を投与量算定の指標)により減量して、処方時に医師が設定しています。

小児への薬の与え方

成人と違って、小児の病気は同じような症状でも原因が異なることがあり、素人判断で過去に処方された薬を飲ませるのは良いことではありません。また、医師に決められた薬と決められた量をきちんと飲ませなくてはなりません。
先にも述べましたが、小児に薬を与えようとする時、薬の味や香り、食感などが原因で服用してくれないことが多いようです。服用した薬を吐き出したり、むせて誤嚥してしまうとか、危険なケースもあるので、ご両親が小児にとって薬の服用しやすい方法を知っておきましょう。

小児は薬の味や香り、食感などが原因で服用してくれないことが多いようです。服用した薬を吐き出してしまったとか、服用時にむせて誤嚥してしまったとか、危険なケースもあるので、服用しやすい方法を知っておくと便利です。

粉薬の与え方

粉薬は子供がむせたりして、そのまま飲めないことがあります。少量の水やハチミツなどと練り合わせて、よく洗ったお母さんの指先に付けて、お子さんの上あごや頬内側に塗ってあげましょう。その後、ジュースや水で飲ませてあげてください。万一、舌で押し出したらスプーンですくって、もう一度口の中へ戻しましょう。よくミルクに粉薬を溶かして飲ませようとする方がいますが、ミルクの味が変化し、ミルク嫌いの原因になりますので止めましょう。

粉薬(ドライシロップ)の与え方

甘くして飲みやすくした粉薬で、そのまま粉薬として服用できますし、水に溶かしてシロップ剤として服用することもできます。ただし、水に溶かしてしまうと分解が進んでしまったり、細菌の繁殖などの可能性がありますので、面倒でも毎回1回分を水に溶かして服用させるのがコツです。

水剤(液剤・シロップ)の与え方

飲む前に良く振ってから、一回分の量を計量カップで計り小さな器にうつします。(容器から直接飲ませないこと!)一回分全部を飲ませようとはせず、スプーンかスポイトで少しずつ与えましょう。計量カップで量りにくい時は、針なしの注射器などを使うと正確に量ることができます。
また、シロップ剤は甘いため、子供が勝手に冷蔵庫から取り出して、飲んでしまうことがありますので、冷蔵庫内の手の届かない場所に保管しましょう。

坐剤(座薬)の与え方

小児ではよく使用される剤型です。食欲がないなど内服ができないような場合や解熱剤や抗痙攣剤など即効性を求める場合に使用します。
坐剤を使用するとすぐに便をしたくなることがあります。排便させてから坐剤を使用するのがコツです。
ZAYAKU.jpg「座薬を半分与えてください。」という指示があった際は清潔なカッターで左図のように斜めに座薬を切って使用します。

頓服の与え方

夜間の薬剤部にかかってくる相談電話で多いのは「今、頓服薬を使ってもいいですか」という質問です。「風邪・インフルエンザ」などによる発熱時に使用する「解熱剤」,「熱性けいれん」の既往がある場合に使用する「抗痙攣薬」などが頓服に使用されます。
解熱剤の場合、注意書きに「38.5℃以上の発熱で使用してください。6時間以上間隔をあけて使用してください」なんて書いてあります。では、38.4℃だったり、5時間しか経っていない場合に使用できないのかというと、そんなことはありません。
発熱は感染等に対する自己防衛反応の一つであるため、ただ単に熱を下げれば良いというものでもありません。解熱剤は高熱で体力を消耗してしまうことを避けるために用いる薬なのです。つまり38.5℃でも体力がありそうなら頓服は使わず様子を見てみる、38.4 ℃でも身体がグッタリとしていて、元気が無いようであれば頓服を使った方が良いでしょう。

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