くすりの効果とは
原因療法と対症療法
「風邪薬を飲んで風邪が治った。」とよく言いますね。これはくすりの効果と言えるでしょうか?
くすりは、風邪をひいた時の高熱や喉の痛み、鼻水、咳の症状を抑えることはできます。しかし、風邪そのものを治している訳ではありません。むしろ症状が抑えられることによってゆっくり眠れるようになり体力が回復し、自然治癒力で風邪は治っているのです。
病気そのものを治すのか?病気によって起こる症状を治すのか?「くすり」はいずれかの効果を持っていると言えます。その違いについて説明します。
対症療法
風邪のくすりよりももう少し解りやすい例で説明しましょう。
ストレスが原因で不眠に悩む患者さんが睡眠薬を飲むと、くすりが効いて睡眠が取れるようになります。でも睡眠薬には不眠の原因となっているストレスなどを取り除くことはできません。つまり「くすりが効いた」ことが「病気が治った」ことを意味するとは限らないのです。
このように病気による症状を抑える治療を「対症療法」と言います。
原因療法
一方、くすりが直接病気の原因に作用して病気を治すことがあります。抗生物質は、肺炎の原因となっている細菌を殺すことで肺炎を治したり、抗ウィルス薬は、インフルエンザウィルスの増殖を抑えることでインフルエンザを治したりする訳です。
このように病気の原因に直接作用する治療を「原因療法」と言います。
何の変哲もない、小さな錠剤が人間を病気や生命の危機から救う。とても不思議なことに感じませんか?